​ 自己破産手続きの種類と大まかな流れ

自己破産手続は、裁判所に申立てを行い、借金(非免責債権を除く)返済を免除してもらう手続です。自己破産は、同時廃止事件と管財事件に分かれています。管財事件はさらに、異時廃止事件と配当事件に分かれています。どの事件になるかは、破産申立人(債務者:借金をした人)にどれだけ財産があるのか、個人事業主であったかどうかなどで判断されます。 

また、自己破産申立の際に、申立書や各種書類の提出以外に、収入印紙の貼付と予納金納付(官報掲載費用・破産管財への報酬)が必要です。

 

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​ 1.同時廃止事件とは

債務者に財産がないことが明らかな場合、裁判所が破産手続開始と同時に破産手続廃止を決定する事件のことです。

 

同時廃止事件は、債権者に配当する財産もなく、財産隠しなどの恐れも低い債務者が対象です。この様な事件では破産管財人が債務者の財産の確保・換価する必要がないため、破産管財人は選任されません。申立書提出の際には、財産がないことがわかる書類を提出する必要があります。

 

図の④破産手続を申し立て、⑥破産手続開始・廃止決定が出されると、決定書と出頭カードが発行されます。文書には⑨免責審尋の期日が記載されており、債務者は出頭カードに必要事項を記入し裁判所に出頭する必要があります。

 

免責審尋では、免責不許可事由がないかどうかの確認のため、裁判官に質問されます。

 

破産手続開始・廃止決定だけでは、借金の返済は免除されません。借金返済の免除には、裁判所からの⑩免責許可決定の後の⑪免責許可の確定が必要です。

​ 2.管財事件とは

裁判所が財産調査の必要があると判断する場合は、⑥破産開始決定と同時に破産管財人を選任します。破産管財人が選任される自己破産手続は管財事件と呼ばれ、配当できる財産のない異時廃止事件と配当できる財産のある配当事件があります。

債務者は破産管財人からの財産調査に協力しなければなりません。破産管財人が必要であると判断した事柄に債務者は包み隠さず説明をしなければなりません。また、一定期間、郵便物は破産管財人のもとに届き、郵便物は債権や債務、報告されていない財産がないかを確認するために開封されますが、破産管財人の確認後は受け取ることができます。

​①異時廃止事件

債権者に分配できる財産がないことが明らかな場合でも、個人事業を行っていた債務者や免責不許可事由が疑われる場合などは、同時廃止事件ではなく管財事件になることがあります。過去の事業内容で免責不許可事由がないかどうか、財産の調査をする必要があるためです。

 

④破産手続の申立を行い,裁判所が申立書類などを確認後、⑤債務者審尋期日の連絡が来ます。申立人は債務者審尋期日に,出頭する必要があります。その後、⑥破産手続開始決定が出ると同時に破産管財人が選任され、⑦債権者集会の期日も決定されます。

破産管財人が債権者に配当する財産が無いと判断し、債権者集会にて報告がなされると破産手続が終了し、破産手続が廃止されます。⑨免責審尋に出頭し、⑩免責許可の決定がおり、官報に掲載された翌日から2週間(即時抗告期間)がすぎると⑪免責許可の決定が確定します。

​②配当事件

債務者が債権者に分配できる財産があるとき、配当事件として扱われます。

 

※①から⑥は「異時廃止事件」と同様のため省略。

財産調査や換価に時間がかかる場合は、⑦債権者集会は複数回にわたって開催されます。⑧財産調査や換価が終了した後、配当がおこなわれます。破産手続が終了し、破産手続が廃止されます。⑨免責審尋に出頭し、⑩免責許可の決定がおり、官報に掲載された翌日から2週間(即時抗告期間)がすぎると⑪免責許可の決定が確定します。

​ 破産手続きと携帯電話について

① 携帯電話の機器分割購入

破産手続を行うと携帯電話の分割購入はできない可能性があります(最短5年~最長10年)

信用調査機関に事故情報が登録されるためです(いわゆる「ブラックリストに載る」)。 

​② 未払いの携帯電話料金がない時

破産手続で免責の対象になるのは、破産手続開始決定時の債権者への借金です。それまでに携帯電話料金の未払いがなければ、携帯電話会社は債権者にはなりません。そのため、機器の分割購入はできなくても携帯電話使用の契約を継続若しくは新規契約は可能です。

また、携帯電話代は、水道光熱費などと同様、生活に必要な継続的な費用と考えられています。そのため、破産手続中や破産手続後にも、携帯電話料金を支払うことに問題はありません。

​③ 未払いの携帯電話料金があるとき

免責が確定されると、債権者一覧に記載した未払携帯電話料金の債務は免除されます。ですが、携帯電話料金の滞納がある場合には、その携帯電話会社から解約される可能性が高いです。

携帯電話を自己名義で契約したい場合には、プリペイド式の携帯の購入、預託金制度(当初にまとまったお金を支払うことで、携帯電話を契約する制度)を利用できる会社で契約する、のどちらかを選択することになります。

​ 破産手続きと賃貸借契約

破産をしても破産者であることを理由に追い出されることはありません。

また、未払い家賃を債権一覧に記載し、免責許可が確定すれば支払は免除されますが、賃貸約契約は解約され立ち退きを要求される可能性があります。

賃貸借契約を解約される可能性を無くすために、破産申立前に未払家賃を支払ってしまうと偏頗弁済(免責不許可事由のひとつ)と裁判所に見なされる可能性があります。家賃は生活に必要なものだからと安易に考えることなく、家賃の未払いについては必ず弁護士にご相談ください。

​ 破産手続きとお仕事について

破産手続をすると現在の職場を辞めないといけないのか、申告しないといけないのか、これからの転職や就活についての影響が心配になります。

​① 職場に知られるのではないか

 破産手続をすることで自然に職場に情報が漏れる可能性は少ないです。破産手続申し立てを行い、開始決定や免責許可の決定が出ると、官報に掲載されます。ですが、官報を逐一確認するような業務内容のある職場や、職場からの借入金がある場合でない限り、破産手続をした情報を知られることがないからです。

むしろ、破産手続きをしないままでいると、債権者が給与を差押えてしまい、その結果、会社にも連絡がいってしまう場合があります。

​② 破産手続きしたことにより退職しなければならないのか

破産手続を理由に解雇することは禁止されています。就業規則で定められていない限り、影響が出ることはありません。ですが、破産手続から免責決定が出るまでつくことができないお仕事もあります。免責決定が下りない場合は、10年間制限を受け、仕事に就けません。

制限を受ける職種の場合は、職場に隠しておくことはお勧めしません。破産者となったことを隠していたで、その職場が処分を受ける可能性があります。隠していたことから退職扱いで済んだものが、免職になる可能性もあるからです。

 【制限を受ける業種例】

  • 弁護士、司法書士、土地家屋調査士

  • 不動産鑑定士、不動産鑑定士補、公認会計士

  • 税理士、社会保険労務士、行政書士

  • 持分会社(合名会社、合資会社又は合同会社)の社員

  • 貸金業者、質屋、卸売業者、測量業者、旅行業者

  • 法人の場合の役員

  • 警備員、一般建設業、特定建設業、調教師、騎手

  • 宅地建物取引業、マンション管理業

  • 特定非営利活動法人の役員(NPO) 

  • 取締役 (取締役の欠格事由ではありませんが再度選任手続きが必要です。)

  • 代理人

  • 後見人

  • 後見監督人

  • 保佐人

  • 補助人

  • 遺言執行者 など